研修医の声

ユタリハ

「人生最後のバカンスだな」

と外科の先生に見送られながら、始まりました湯田川リハビリテーション病院での研修です

おいおい、失敬な表現ではないか?と傍目には思われますが...外科での研修と比較すればその通り

何せ緊急で呼ばれることもなければ救急もなし

始業は8時半、終業は17時半

残業はなし、土日もフリー

1日15時間院内に居るのがザラ、土日も勿論朝夕回診と比べたらもうね、こんな幸せな日常があっていいのでしょうか...

傍目には「ブラック」と思われるでしょうが、急性期の病院なんてどこもそうですからね

なんなら看護師さんも薬剤師さんもハードワークですし

嫌なら権利主張して定時で帰ってしまえばそれまでなのに、責任感から皆が努力してこなしてるのに市民に苦情を言われるとやってらんないし、そのせいで新卒からも敬遠されればただ疲弊していくだけですから

それでもやりがいを見つけて皆が頑張っているわけですから、ただただ尊敬です

私なら...すぐにクリニックなりツルハドラックに逃げ込んでQOL重視で生きるでしょうけどね 笑

話を戻して、一番忙しい外科ライフよりは楽だと言われて訪れた湯田川リハ

鶴岡に無くてはならない重要な役割を担っているのは初日で十分よくわかりました

それもそのはず、患者の名簿を眺めて既視感があるんですよ

「この人、整形で2月に執刀した人だ・・・・」

「この名前、特徴的で見覚えが・・・」

「この人、この前まで外科で見てた・・・」

荘内病院からさらりと退院できた人達が在院されてるわけですよ

「90%ぐらいは荘内病院から~」とお話を聞くように、急性期での加療を終えた患者さん達が日常生活に戻る為の訓練に励んでいるわけです

もしこうした受け皿となる病院が無かったらADLが落ち込んで荘内病院出戻りをしたり、ずっと荘内病院に入院し続けて新規に積極的治療を必要とする患者さんを受け入れられなくなったりするわけですからね

市民により早く積極的な治療を提供できるように、循環を保つ為には必要不可欠であるし、患者さんにとっても早く、ベストな状態でお家に帰れる為にはこれ以上ない施設なわけです

加えて、「湯田川温泉付き」ですからね!

医師の数は、ご紹介いただいた先生だけで3人と少数精鋭

中でも私は院長先生の下で1か月学ばせて頂くこととなりました

まだ回って1日しか見ていませんが...すごいんです

めちゃくちゃフットワークが軽い

新規でいらした患者さんがいれば聴診器をぶら下げすぐにお話に

話口調もゆっくりで、ジョークを挟みながら患者さんと近い距離。握手を求められるのも頷けます、私も患者さんだったら握手したくなる。。

看護師さんから「なんか指がはれてるんです」

と聞けば、「よし、いくか」と手袋をはめてすぐに処置をしにいく

医師の数が少ないからそれが当たり前なのかもしれませんが、ぱっと動ける足取りの軽さと、処置の素早さを見ていると、これぞ地域医療、これぞ総合診療か、と感動してました

病室が暗くて「ライト、ライトが欲しい」と言われたからスイッチを探すも、そもそも処置時に照らせる室内灯がない。院長の胸に常備されたペンライト、これこそが施設を熟知する先生ならではのユタリハ七つ道具といったところでしょうか。

うーん、小さいところながらすごい。。。

湯田川に燦然と立つユタリハは、地域医療を知り尽くしたベテラン達によって守られている

採血は健康管理センターに持ってくから2時間待ち、検査技師もいないから自分らでなんとかしなきゃいけないという、有事の際には縛りがある

紙カルテしかなくて、伝言ゲームは必要不可欠

制限はあるけれども、その中でもベストを尽くすべく多職種カンファが頻回に行われている

患者さんの短期目標、長期目標をみんなで立ててそれに向かって患者さんの助力をしていく

「長期目標はおっきくなくちゃ。結構よくなるんだよ。リハってすごいんだ。」

無邪気に笑う院長の姿には後光が差しておりました

リハってすごいなと思えるところを見てみたい!

ということでユタリハ始まりました

手術と救急まみれの毎日から慢性期のじっくりとした医療の世界に鞍替えとなりましたが、バカンスと言わずめいっぱい楽しもうと思います!

二年目研修医 佐藤

PS

鳥海山がとっても綺麗です

2019年12月03日

研修医

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