研修医の声

今日も外科は面白い

今日も外科は面白い

ヘルニアだけ一生やってても楽しめる気がする、ヘルニアマスターを夢見る今日この頃

腹膜まえ脂肪と出会えるその瞬間の為に、みんな手術をやってるんじゃあないでしょうか

周囲の組織と違う、ぷっくら豊かな腹膜まえさん

どっしりと強固な組織で、「おら、腹がら出てきたんだわぁ」と図に乗るヘルニア嚢と相反して、「間違って出てきちゃったの・・・。おっきくてごめんね」としっぽりしている姿が案外キュート

そんな君をみんなは「腹膜前脂肪(ふくまくぜんしぼう)」と仰々しく呼ぶものだから、私がかわいく「ふくまくまえ」と呼んだげてる

言い続けると響くこともあるもので、上級医の先生も口を滑らせ「ふくまくまえ」と呼ぶことがある

その瞬間私は「勝ったな」と心の中で呟くのだ、うちの子が大きく育った、そんな気分である

これだけ愛着を持って楽しめるのは、解剖をわりかし理解できているヘルニアだからだろうが、今後ほかの手術でもしっかり解剖を勉強していけば愛着の持てる組織も出てくるのだろう

もっと解剖を勉強して独自のネーミングを見出さねばならない、そんな使命感に駆られるが、変なことを言い出すたびに上級医に動揺が走ることが度々ある

先生のペースを乱さないよう、普通の、まじめなことを言えるようになりたいものだ

今日こそは、と勉強していって質問される内容を予測して準備していっても、「それで」を言われればその試合は惨敗

いや、予め聞かれることは予見出来ていたこともある。ただ流石にこれは聞かれないだろうけど必ず来る、と予測して調べものをしていっても大概忘れてしまうものだから、「それ聞かれると思って調べました!覚えていませんけど!」となんとも阿呆な答えを堂々と言うこととなる

瞬間瞬間で競り勝つことはあっても一日を通して負け続けているのだから、ちょっぴり悔しい

残りの45日のうち、1日でいいからとんでもなく勉強しているデキレジを演じて「やるなぁ」と言って頂きこれでもかと調子に乗ってみたいものだ

好奇心を揺さぶられる外科生活はまだまだ続く

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今日も外科は面白い

総勢10人いる外科ともなれば、それこそ十人十色

一人一人の性格、カラーが色濃く出てくる

最も顕著なのは回診であるのは言うまでもない

みんながみんな知らないことを、その人なりの切り口で教えてくれる

外科回診は常に教育回診だ

というのも...と医学的な内容を載せるのはまじめな優等生染みた人だけだろう

私には荷が重い

故に、最も私が朝回診で気にしてしまうもの、それは先生方の喋り方なりキャラクターだ

國松医師の講演で、「外来はその人のステージだ」なんて言葉があったように、患者さんの前で人それぞれに演じるキャラクターが存在する

誰とは言わない、外科のだれかを少しだけ書いてみる

ある人は優しさがにじみでてきている

ICの時の強い言葉とは裏腹に、回診時には時折混じる方言と「よくなって。」という一言が場を和ませる

患者さんに対して「一緒に頑張りましょう」とか「治します」とかそういったベタな言葉よりも、「我々はあなたが治る手助けを全力でやっていますから、あとはあなたがよくなるだけです」といった方がなんかプロっぽくてかっこいい。それでいて優しいのだから、言われた側はうれしいでしょう

ある人はモーションに癖がある

言葉だけではない。動作を多く取り入れながらわかりやすい言葉を繋げる芸風は、じじばばの心を100パーセントつかみとる。その際のボディーランゲージがどうも映像として頭に残る。気付けば自然とやってしまい、語尾もなんならうつってしまう。それだけいい意味で癖のあるスタイル。

ある人は庄内弁がうつってきている

語尾をはっきりと言いながら、わかりやすい言葉でゆっくりと話すスタイルは、明らかに患者さん受けがよく、優しい雰囲気で受けがいいにも関わらず、よくよく見ていると患者さんに釣られてちょいちょいイントネーションに庄内イズムが染みついてしまっている

・・・後ろを振り返ったら、内心にやけている私と看護師さんがいることに気付くことはないだろう

ある人は少し声が小さい

なんでなんだろう。

ある人はただ、かわいい

めちゃくちゃおばちゃん受けがいい。抑えているのは外側からでも明らかだ。

ある人は独特の共感をする

「そうですね」の言い方は人それぞれだが、それが特徴的。

普段その言い方はしないのに、物まねしてたら自分も気づいたら使っていた...

研修医室で日々、先生方の物まねを研究している私だが、物まねしたくなるほどの特徴を先生方は持っている

そんなの研究してないで勉強しろよと言われそうだが...言わずもがなブログネタになるのだからしょうがない

今日も楽しく人間観察、患者さんも、先生も

見るものはどこにでも転がっている、それが外科の毎日だ

2年目研修医 佐藤

PS

願わくば、外科の先生がこの記事を読んでいないことを期待したい

でなければ自然と出てしまう物まねが、辛くなってしまうから...

2019年10月16日

研修医

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