研修医の声

たけしの家庭の医学・國松淳和先生来院!

9月6日、徳田先生来院と同じ週、たけしの家庭の医学・國松淳和先生が来院されました

仮病の見抜き方がじゃんじゃか売れている、今売れっ子作家さんですね

元々不明熱鑑別で有名な先生で、今春に出した仮病の見抜き方がかつてない医学書ノベルという新ジャンルで話題沸騰ということでW先生が呼ぼうと尽力してくださいました

先生をお呼びするにあたって、先生側からはネタは何でもOK、カルテを使いながらの即座のコンサルトもOKとフランクかつ寛容なスタイル

当初余りにフランクすぎて研修医陣は困惑...本当にそんなにフランクでいいの...?と

その後先生の情報を洗い、とても若い先生だと判明...!だからこそか

てっきり医学書ノベル書くくらいだから50代中盤、若くても50代前半かと思ってましたから...40代前半だと聞いた時の衝撃たるや

なるほど、それゆえに面白い本が書けるのか

超が付くほどの挑戦的な文面で自身に満ち溢れてますからね、これは新進気鋭の若さがなすところですよ

診断はギャンブル

ってフレーズにめちゃくちゃ惹かれてしまいましたから、親近感を勝手に覚えていました

一発狙った疾患にめがけて鑑別して、外したらまた次の疾患へ、と試行回数を増やして当てにいくギャンブルだと

開き直って考えていく辺りが流石、誰も診断つけられなかった病気を見つける名医たるメンタリティーなんだろうなと思っていました

さて、そんな先生が来ると決まれば私達も準備が必要、まずは著作を二冊ポチりしました

症例発表するのが上級医の先生方4名に加え、研修医から3人

1年目のIとYに、私

とりあえず、ぽちった2冊をろくに読まないまま2人に貸して無理矢理読ませて、芸風をインプット

その後にパワポ作りに励みました

前日はIもYも徹夜して仕上げる気合いの入り振り、徳田先生の時のSSK、KYDの仕上がりが相当だったのもあって対抗心で燃えていた?ようです

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さて当日、國松先生が来院、顔合わせしての第一印象が声が高く優しそう!

たけしの番組見れなくて、ネットで不明熱鑑別の動画を調べてみてどんな雰囲気な先生か予習していたつもりでしたが、それ以上に声が高い!そして、優しい指導医の雰囲気あり!これは楽しく勉強会になりそう

緊張感も解けた私達、お昼すぎから第一部が始まりました

症例提示を受け、それにコメントをしていくスタイル

上級医の先生方の症例は難しいものばかりで、本当に悩ましい

國松先生も、「ぐぬぬ...」と「そのままの方針でいいと思います!」と、なるものもあれば、「これはSSRI少量が効く症例です」とズバリと思いもよらぬ解答をしたり、「自転車乗れるかききましたか?」など、この流れは仮病を見抜きに来ている、仮病を見抜く著者のそれだ、と私達を震えさせる瞬間があったり

これがたけしか...

と実力をいかんなく発揮されていました

これならどんな質問をしても確実に強い解答が返ってくる

我々研修医陣も臨戦耐性に突入

さて、研修医陣の模様をお届けしましょう

Iが発表したのが不明熱

熱源は最終的にはわからないものの、精査の道中で婦人科腫瘍が見つかり手術をして良くなったという一例

種々検索の結果、後から見返したらパルボウイルス抗体が陽性で、國松先生の著書と照らすとパルボウイルス感染に伴う熱発だったか?というネタでしたが、先生本人から「なんとなく違うと思うよ」「名もなきウイルス感染じゃないかな」「パルボウイルス抗体があがるからといって主因とは限らない」とコメント

前々日くらいにスライドを見せてもらった時に、私も「これ単に腫瘍熱なんじゃない?それかどうでもいいなにか」とコメントしましたが「先生の本に全くおなじよう書いてあったから」と反論されて、そんな本が全てでは無いでしょう、と思ってましたが...著者の感覚も違うようでしたね

単発の症例報告とか、しっかりとした本に書いてあるからといって、必ず目の前の症例がそうであるとは限りませんからね

似ている経過だからそれを「疑う」ことは出来ても、似ている経過だからそれに「違いない」とは断言できません

ただ感覚的に「それでは絶対ない」と思ってしまうのもまた、断言できる理由にはなりませんが、臨床的な意味でのギャンブル的思考は、突き詰めればこれまでの思考経験に基づく「感覚」に依存することなのだろうと思いました

Yが発表したのが仮病の見抜き方にも書いてある症例

経過が複雑故に、M先生がわざわざ発表して下さり、その後にYが発表

その患者さんは何度も入退院を繰り返しており、研修医の多くが、加えて過去にローテートした現4年目の先生方も既知の方で、一人一人が思うところがある症例

Yが直面した状況を、よりリアルに伝える為に、看護記録から会話を原文ママで抜粋し読み上げた後にディスカッションすると言う斬新な構成

國松先生も絶賛...

しかし、そりゃそうですよ先生、荘内病院のdiversityを象徴する彼ですからね!!!!

医療って患者さんを治すのが仕事ですけど、「医学的」に治すだけが仕事では無いですからね

患者本人を取り巻く人間もまとめて調整するまで求められることもあるというのが難しいところ

おおよそそこで医療者の常識と非医療者の常識が照らしあわされて、医者が非常識とレッテルを貼られることがあります

「自分が常識、他人が非常識」という考え方を持つ人間に対しては、いくら医療者が努力したところで納得させることは難しいですし、リテラシーが許容できるレベルを超えればもうお手上げなわけです

そこで考えを巡らして医療者側はわかる範囲に落とし込もうと分かりやすい言葉にするなり、難しいところは省いたりしますが、それでも人によっては難しい

相手が医学的素養があるならまだしも、乏しい場合や医学的思考に慣れていない場合は衝突は免れられない

大変ですよね、、、となった一例でした

私が発表したのは恒例のこわいネタ

もう使い古したネタで考察も行くところまでいってしまい、レジナビなり病院見学なりでこれでもかと使ってきたネタですが、せっかく仮病見抜ける先生が遠くからわざわざ来て下さいましたからね、毛色の変わった笑えるネタをとかけてきました

不明熱のオレンジ本に書いてあるようギャンブル的に診断をつけにいったところ、ギャンブルで負けて仮病に見えてしまった一例

と題して、胸部症状を示唆する「こわい」が大腿骨頸部骨折でした、と

方言は地域性、年代、ADL、認知の有無などなどから、ニュアンスは大きくことなることがあり、主訴だけにあらず病歴も発信者によって信憑性が大きく異なる、と、神経内科・救急の指導医の先生方から学び、その後続けた考察を発表しました

こわい症候群に対し、仮病を見抜ける先生はどう戦うのか...その答えが聞けると思いコメントに耳を立てていましたが...

なぜか、感心されました。

それは知らなかった、と。しかし、喜んでもらえたのでよかったなぁと満足です。

かくして無事に終わった第1部

第2部は多くの医局の先生方も参加しての國松先生の講演会

新作スライド、新作ネタで「また来たくなる外来」

と題して、患者さんがまた来たくなる外来はどうやるべきか、と

中身はなかなかにハードで、今後書籍化も検討している(?)といった雰囲気で、ブログに記載できませんが、中でも行っても良さそうな金言が、

外来では丁寧語を使っていれば間違いない、相手は気を悪くしない

ということですね

ただその直後に、私の新宿での経験ではですが。この庄内地域ではこわいの話もあり、通用しないかもしれません、と後から枕詞がついてしまいましたが

それは確かにすぐ思いましたが、都会であれば無論丁寧語が一番でしょう

私も患者さんにいきなりため口で行くのは嫌いですし、年上の患者さんにため口フランクで行くのを見ると内心イラっとしちゃいますから

研修医がいきなりそんなんで来たら相手も嫌だろうなって

ただ、こと庄内だと例外も大いにあるように思います

方言が生活の大部分をしめているような患者さんに対して丁寧語で行き過ぎると、よそよそしくて逆に変に思われることもありますからね

直感的にイラついてると思うところもしばしば

そういった相手には庄内弁女言葉で会話した方が、話が早いですし

また、たびたびネタにしてますが、庄内弁には敬語表現、丁寧語表現がありません

庄内弁で話すだけで上下関係を取っ払った、庄内人同士の関係で会話が出来ますから対等かつ不快な思いをさせにくくなります

無論、庄内弁の中にも敬意あるような言語を織り交ぜて会話するなり、イントネーションをケンケンとさせず、柔らかく意識し、目を見て相応の傾聴共感をしていれば間違いがないですから

方言全盛の地域においては、丁寧語で話す、と言うよりも丁寧語に患者が感じる言語で話す、ことの方が重要なんではないかと思います

都市部で丁寧語が丁寧であるのは、標準語社会においての丁寧な言葉が丁寧語だからであって、丁寧語が丁寧と感じられるからではありません。丁寧と感じられるのが丁寧語なんです。

この意味で丁寧語は日本国内不変では無く、場所や相手によって違うというのが私が最近思うところです。

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第3部は歓迎会

凄いイケそうな雰囲気なのに、意外でした 笑

いつまでも気のいい先生で、楽しかったです!

仮病の見抜き方を読んでいての私の疑問もぶつけられて満足、「仮病」と<仮病>は意味が違うのに、なぜ途中から<仮病>が「仮病」と混同されてるんですか?と

ああ、それ途中から...なんかごめんなさい

すみません、深読みしすぎて、しかし納得しました、誰だってよくありますから...

ということで、次回開催も近いうちにある(?)とのことでしたが、来年もイキの良い1年目を勧誘しましたから、他にいないような面白い研修医と楽しく美味しく(?)やれると思います

以上、楽しく勉強できました!

総合診療の名医による勉強week無事終了です!

2年目研修医 佐藤

2019年09月19日

研修医

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