研修医の声

誰よりも充実していただろうGW

去年は休んでいた気がするGW

充実していた気がするが...去年は今年程の充実はしていない気がする

私、F共に今年のGWは余りに充実しすぎていた

そのお蔭で翌週は...放心ではあったが

「おっ、こいつら旅行でも行ってきたか」

「これからどこかの旅行レビューか」

「日本酒か?はたまたワインか?」

「また遊んでるな?」

このブログの読者さんであれば、まずそっちを考えるだろう

浅い、全く浅い

そんなつまらないいつでもできるようなことなどの為にGWを使うなんてあまりにもったいない、アホの極みだ

私が旅行するならもっと人ごみが無い日を、何なら振替え夏休みでいくだろう

GWならGWにしか出来ないこと、なんならyoutuberばりに企画モノが何よりいいに決まってる!

そう私とFがやったGWとは...ER研修だ!

春先、秘書さんから打診があった

「GW中はなるたけ救急入って下さいね~。入れる日だけでもいいですから。とっても救急大変みたいで喜ばれるらしいんで~」

人の為に喜ぶことをするのが楽しくてたまらない荘内病院研修医陣

それを聞いた瞬間、私とFは声を揃えて、「全部やります」

「えっ、無理しなくていいですよ!?そういう意味じゃないですから」

「いや、やります。楽しそうなんで」

GW中は放射線、小児科共に全部休みと言われ完璧に暇

小児科に至っては「研修医なんだから休まなきゃダメだよ。」とうれしいことを言って下さる

わかりました、私はGW中はいきません、小児科には

かくして前半5日間はF、後半5日間は私と、GWを自主的ER研修期間としてしまった

働き方改革が提唱される現代日本に真っ向から逆行する我々の奇行

普段は働かせないように細かな規定を作っている当病院も、GW期間中はER上限回数が撤廃される

それを逆手に取った、我々の強硬手段だ

上の先生にも、なんなら秘書さんにも

「正気か?」

と問われる始末

ええ、正気も正気です

ERの回数もdutyは月2回と、他の病院と比べて圧倒的に少ない割に求められることが多く自然とER研修の回数が増えていた我々ですから、入ることそのものへの抵抗も少ない

ただ患者数が県内トップクラスに多いのに、他の病院よりも担当ドクターの数が少なく加えて全科

一見して余りに荷が重く見えるが、研修医が貰える手当が県内最高なのだから、我々もまさにこの時に額に見合うだけの仕事が出来るように研鑽を積んできた

そう、1年の集大成を上級医に見せつける瞬間が来たのだ

「3か月先の自分に会ってくるわ」

これがF氏と私のスローガン

5連勤で得られる経験値は日数にして3か月分

何なら連勤ボーナスとGWボーナスまでついて半年先の自分の姿も見えるはず

ERを経験すればするほど知識が増え、出来ることも増えてくる

普通は嫌がるハズなのだが、私達の向学心を満たすだけのものが荘内病院の救急には見えていたからだ

GWの2週間前から私はそわそわしていたし、普段とは違う短期集中ER修行へのモチベーションは日に日に高まっていた

―――

かくして突入したGW

3日目を過ぎたあたりでFから連絡が来る

「普段のERと全く違う。忙しすぎるし、見れる疾患もふだんとは別、色物ばかり。めちゃくちゃ面白い」

これを聞いてすぐ私は、昼夜逆転しながらもすぐさま病院に行きひたすら救外カルテを眺めた

異様な人数と軽症から重症まで、年齢も幅広く、疾患の幅も広い

普段かかりつけにかかってるレベルのものが数多くいた

いわばド直球の1次救急、少し処置して帰せるレベルの、私達が日勤帯では経験することが乏しい症例

喋りの力が求められるし、少し知らないところがあっても調べながら、聞きながら捌かねばならない

5日目を終えたF氏と会った

明らかに自信に満ちている、やり切った顔だった

「未来の自分に会ってきた」

そういう彼も未来の彼

次に彼とあった時には、気付けばGWは終わっていた

それ程に多忙で、没頭できて、充実しすぎた日々

余りに面白いと終わっていることにも気付けないほど

初めは日勤帯で8人しか見れなかった

それが10人になり、12人になり、自分出来ると思った矢先に重症疾患を引きすぎて7人を見て、翌日に10人

なるたけ丁寧に身体診察をしながらも、カルテも十分量書いて、患者さんのニーズに応えながら早く帰せる人は早く帰って貰い、待ち時間も出来るだけ短かく出来るように

5連勤前と後では要領の良さが段違いだとも思う

「先生ありがとうね」

上級医や看護師さんにそう言われて、以前はお世辞だと思ってはいたものの、今回ばかりは確かにそうだろうな、と調子をこいてみたくもなる

Fも「これ研修医居ないと辛いよ絶対」と言うのも理解できた

救急車が来たらすぐファーストタッチできる人が必ず1人いたし、溜まっていく人数も少ないように思えたから、我々第3日直がいた方が回っていたようだ

しかし、他の病院ならERにdutyで研修医を配置してそうでなければ回らないと聞くが、いなくても回せる要領の良すぎる先生が荘内病院には不思議と多い

環境がそうさせるのだろうか

そういった先生達に揉まれて来た意味が、GWで分かりましたね

手取り足取り教わったわけじゃないけども、親の背中を見て育てば見える世界もあるというもの

自分に力が付いてきたと実感出来て、自分に自信が持て、めちゃくちゃ勉強になったGWでした

次の長期休みも戦地に赴きましょうか、狙いは大みそかですね

...なんて調子に乗ってると足元救われるでしょうから、また身を引き締めて研修をしていきます

2年目研修医 佐藤

2019年05月14日

研修医

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