研修医の声

コミュ力の話

土日祝日の救診医研修に初めて入りました。

上の先生に合わせて19:00~23:00みたいで、時間も少なく割と楽かも...?と、タカをくくっていたのですが、確かに初めはあまり患者さんいないし楽ではありましたが...

しかして徐々に夜が深くなってくるや否や、患者さんの数も途切れません。結局大変でした。

先生方、看護師さんも相も変わらず優しく、患者さんも皆協力的でいい研修が出来ました。またノートにパワポにまとめて勉強になります。

如何せん私は立場が最も弱く、現場での立ち回りも一番おぼつかないわけで、わからないことはすぐ聞く、「我以外皆師である」と三科院長の金言通りにさせて頂いております。

しかして、それが故にどうもうまくいかないこともあるようで。

立ち回りが難しい時も散見されます。例えば、手が空いていて途中からただ脇で見ていた時や、仲介役に回っていた時です。

そんな時便利がいいからと担当医扱いされると、どうも都合が合わないことがあります。

と言っても、一言、二言言えば何も問題なく私以外がストレスフリーに対応できますし、とりわけ何事も無く解決していますが、「ああ、これは未遂の場面だな」と思うことはあります。

見ているならば既に担当だろ、責任持てよ

という言葉を以ってして、他病院で研修している同期なんかからは「嫌な思いしたよ~泣」みたいな話を聞いたり、割を食った経験を聞いたりします。

一見して正論に見えるその暴論は、そもそも論としてやっていないことをやったことにはできませんし、キャパシティーというのも考慮して貰わないと困るものです。事実関係さえ確認すれば別に誰も損をしないのに、それを怠るが為にどこかでこじれて、嫌な思いをすることがあるものでしょう。

医療をする上ではコミュニケーション能力が最も重要である

至極当たり前なことですが、医療者間でも気持ち良く仕事をする上では重要だと再確認させられる一例ですね。

また、これまた当たり前ですが患者さんとのコミュニケーションに置いても重要です。

我々研修医に課せられた救急での仕事は先発完投でやり切ることよりも、まずは先発をして情報収集すること。

患者さんから情報収集をして、検査をオーダーしてそれらから診断して、中継ぎに繋ぐこと。

患者さんの疾患が自分の詳しい疾患で無く、完投出来ないものであれば上級医であってもそうすることが仕事になります。

中継ぎに繋ぐ際の他科の先生への説明の方法、帰宅可能な時の万が一を考えた対応方法を含めた説明の方法は十人十色。

おおよそ習った先生なり、研修をしてきた病院なり、専門とする科なりで全くやり方が異なるようです。

患者さんへの説明の方法を見て学ぶのが面白い

これは学生時代には無かった感覚で、見学がメインの実習ではただ「かったるいな~早く実習終わんないかな~」と説明を見ているのが学生のほとんどかと思いますが、自分で診察して診断まで至った時如何にして説明するか、そうなった時に初めて「どうしよう」と必要となる技術です。

とりわけ小児科、整形外科に関しては日勤帯の救急研修に置いては必ず専門家の先生が診察して下さりますし、救急研修中には当院の決まりでそのようになっている為にそれを見学、経験する機会はありません。

日本全国どこの研修医であっても小児・整形は皆苦手でしょうし、まさしく研修医泣かせである為、不安になったその瞬間に上級医を叩き起こし、そして表で裏で叩かれたことがある、のが我々の救急への洗礼といったところでしょうか

...幸い私はありませんが

とかく今日も整形、小児の先生に教えを乞うことが出来て勉強になりました

やっぱりそれだけで独立しているような科はしっかり勉強しないとダメですね。今以上にやらないと、細かいところまではイマイチわかりません。

しかして、こうした専門性の高い知識を日常の救急研修の中でストックしていくと言うのはどうも現実的で無い気がします。というのも各論が多く、分岐ルートが細かい為に、その道だけに絞って最低でも半年、出来れば一年はしないと自信を持っては出来ないでしょう。その度毎にストックするのでは、2年の内に幅広く網羅するのは、数が足りていません。

といっても我々に求められるのは総論としての身体診察技術でして、そこまではいらないとは思います。診察技術には関しても場当たりで学べばそれまででしょうし、各論はプロに任せればいい。しかして、プロに繋ぐ直前のセミプロとしての技術、すなはち診察をした内容を用いた解釈・考え方を各論として議論し、擬似体験を積む機会が必要不可欠かと思います。

世間一般でしているような症例発表を聞く、だけでは私個人的には技にはなかなかなり辛いと思いますから、ケーススタディー形式のディスカッションをする機会、ドクターG的な勉強機会が欲しいですね。

その度にその日のまとめとしてのアルゴリズムと、それに従った説明方法・処方方法までを理解できれば、似た症例に直面した際大きく間違うことは無いでしょう。

アルゴリズムを使いこなし、その人の最善を目指す経験を積み重ねることで、技術としてその人の診療の核として残っていくのではないでしょうか。

そうした勉強方法を一度確立してしまえば、屋根瓦式に受け継いでいけるでしょうし、初めに苦労するだけで済みます。

ただこれだと市販されている本でも良くないかとも思われますが、当院のやり方と合わないことも多々ありますから。

理想を言うなれば荘内病院流のやり方に加え、どこでも通用するような診療メソッドを考察出来れば誰もが安心できます。

上の話を聞いていると大概は上級医とのコミュニケーションで以ってそうした技術を磨いているようですが、中にはコミュニケーションを取るのが著しく苦手で、上手くいかなくて困った人もいるようですから。

そうした層も拾えるような勉強会を作れれば...かなりの理想論ですけどね

残り一年間の研修医生活のライフワークはこれですね。めちゃくちゃ勉強しなきゃいけなそうですけど...いっぱい上の先生に迷惑かけて勉強させて頂こうと思います。

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そんなこんなを考えながら、居残りして小児科の先生に質問をして、眠いなーと宿舎に帰った24:30

院外ピッチを忘れたことに絶望し、雪が解けたアスファルトをスニーカーで爆走

氷点下なのに地面が凍らないって素敵ですね、肺が凍てつくのを実感しながら、久しぶりに中距離走

息が上がりながらも着いた研修医室、やっぱりありました

さあさあ帰るぞと研修医室を出れば、外科の先生方の声がします

少し話に行こうかしら、と立ち寄ればどんどん人が集まり気付けば外科の先生は4人も勢揃い

「いっぱいいるなぁ」

とこの時間にも笑みがこぼれる先生方

体力半端ないですよ、緊急手術お疲れ様です

こういう姿を見るとやっぱり外科に憧れますよね

1年目研修医 佐藤

2019年01月15日

研修医

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