研修医の声

もう春だったらいいのだけれど

朝から晩まで寒く、日の入りも早くなってきた昨今

世間はクリスマスだの、冬のボーナスだのに沸いているのではないでしょうか

私達研修医にはそうした冬の風物詩は残念なことに一切関係はなく、むしろ出会いと別れの季節と春を感じさせる

というのも、、、

たすき掛けで来てくれていた先生が2人いなくなってしまうのです・・・・

荘内病院はと言うと、ご存知の通り山大と新潟大からのたすき掛け研修を受け入れていますが、山大から3か月~半年くらいの単位で来てくれる人がちらほら

麻酔科のSちゃんと、外科のK君

2人とも優秀で働き者でお話し好き

楽しく毎日勉強していました

そんな彼らが居なくなると研修医質も、手術室の雰囲気ががらりと変わってしまう気がします

ただひたすら寂しいですね...

「そういやお別れ会してないじゃん」と急遽決まったお別れ会をS、K、Fとしてきました

〆に食べたかんだら汁があまりに美味しくて、気持ちもお腹も満たされました

F氏も大満足でしたね

大学に戻ればここみたいにのびのびとはやれないかもしれませんが、将来の夢に向かって頑張って貰いたいですね!

夢はペインの第一人者、山大病理の教授でしょうか?一瞬でも皆揃って荘内病院で働ける日を夢見ています

そして、学生さん達に「荘内病院は楽しいよ~」と広めて貰って、是非とも医師確保の一助を!!!

意外とバカにならないんですよ、こういう根回し 

人の力で人を集めるのが一番コストかからず効率良くて、ストレートに良さを伝えられますからね

それに人を集めるには、人が集めなければいけませんから、IT社会になった今でもレトロな口コミと言うのは大事なものです。口コミで気になって来た先生も昔はいたみたいですから

シャッター街並ぶ鶴岡に相応しいレトロさで...だけとは言えませんから、メディアを用いたアピールにも力を入れていきたいところですかね

さて、私が研修している救急も冬の到来と言わんがばかりに冬らしい疾患が目に入ります。

そうした疾患の多くが一発があるようなものですから、上級医の先生も慎重そのもの

秋とはまた違いますね

それ故に、症例に対して真剣勝負をしている先生方の判断基準や、その根拠なんかを盗んで自分のものにしていく、というのが醍醐味でしょうか

自分でわからないと判断すれば、プライドなんか微塵も持たずわかる先生に繋ぐベテランドクターもいますから、そういった姿勢は患者ファーストで考える上では重要なものだと実感させられますね

荘内病院で救急を学べば、日本中どこででも戦える

とOBの先生方は口ぐちに言いますが、それもその筈ですよ。

県内トップクラスの症例数に加えて、指導して頂いている先生だけに非ず、他の先生に教えを乞う閾値が低いだけに非ず、どんなコメディカルの方々も協力的なわけですから。他の科の先生に繋いだ症例も気になればすぐ質問できますから、フィードバックも充実しています。

それでいても、今週はまだ三日しかたっていないのに難しいものばかりで、どっと疲れました

こんだけ疲労したのは初めてです。8時間の手術を3日連続で入るよりも、判断難の症例に3例当たる方が来るものがありますね。先生方と一緒に見させて頂いており、自分に全責任が被らないような環境であっても、緊張感はあります。

医師という職業柄の独特の怖さを身を以って体感している気がしますし、そのお蔭で勉強のモチベーションも尚上がってきております。

救急の勉強をする、と言ってもただ本を読むと言うより、リテラシーを救急寄りにすることが求められているような気がします。

リテラシーと言えば、中学校の授業で誰もが習ったかと思いますが、一言でいうなら「情報の運用能力」とでも言いましょうか

よくメディアリテラシーなんて言葉の使い方がされますよね

荘内病院と言うと色んな大学や医局の先生が入り混じり、救急では救命を目標に診療されています。

目標は一緒でも、目の前にいる患者さんの情報は、医師1人1人によって見え方が異なります。

その人の医師人生のバックボーン、背景なんかが大きく関わってくるわけです。

加えて、その人の医学情報リテラシーによって情報の解釈が大きく変わってくる可能性もあるわけです。

幅広い勉強をしていようと、その分野のスペシャリストに敵うとは限りませんよね。

それ故に、その科のスペシャリストの考え方を聞くだけでは無く、自分の専門では無い科を診なければいけない先生が、どういった考察過程を踏み、判断していくかというのを見るのも、自分のリテラシーを磨く上では大事になってくるようです。

現実に自分が専門の科ばかり見るわけではありませんし、全科当直を謳うわけですから、得意で無いものも見なければなりません。

その際にその科のプロの見方だけでなく、プロでない人が見る時の方法論や考え方を見ることが出来れば、もし自分が苦手な科を診なければいけなくなった時にどう考えるべきか、如何にしてプロに紹介するのかに関するセンスを磨くことが出来るでしょう。

どんな症例が来ても病院にとっても患者さんにとっても自分にとっても最良の選択を出来るほどのリテラシーはどんな医師でも持ち合わせてはいないでしょうが、常に患者に対し正しい選択をする医師と言うのは数多くいると思います。そうした方はリテラシーが正しい方にフィットしているのでしょうし、先生方のお話を聞くとどれも筋が通っていて納得するものばかりです。

一方、私の持つ医学情報リテラシーは未熟そのものですから、正解選択肢を歩み続けることは不可能です。それもそのはず、リテラシーはエンピリックとエビデンスに基づいて形成されるべきものですから、日が浅く、そのどちらも私は足りていない訳です。上の先生と一緒にいるからこそ、何も起きずに上手いこと過ごせているようです(もしかしたら裏で噂されているかもしれませんが...)

それ故に今私がすべきは多くの先生の戦い方を見て、その根拠を集め、疑問点を本なり論文なりで調べて自分のリテラシーを磨いていくことなのでしょう。

F氏と共に暇そうな先生を見つけては声をかけて質問したり、もう周り終わった後の科でも気になったことがあれば先生を掴まえてショートレクチャーをしてもらうようにしています。先生方からしたら「面倒くさい」と思われるかもしれませんが、コツコツ頑張っていきますのでどうかおつきあいをば...

勉強しなくても難しいですが、日々勉強していても医学は難しいですね、本当に。

やる気が漲り、気合い入れると気付けば5冊、6冊単位で本をまとめ買いしてしまいますが...結局先生から聞いてその内容をノートにまとめたりパワポにしてしまったりで、本を読むのと同じレベルで勉強が出来ますから読めていない本が貯まるばかりですね。

とりあえず年内には10冊は完読したいですが...読んでて難しいんですよね

これもまた医学リテラシーが足りていない、と自己紹介しているようなものですが

ということで、色んな先生に学び、色んなことを学べる今が一番楽しいですね。

 

 

 

 

来年からはまた新たなたすき掛け研修医が来るようで楽しみでなりません

鶴岡の良いところをいっぱいリストアップしておかねばと思いますが...こんな寒いところのいいところなんて何があったでしょうか

地元民の私ですら、この時期は実家の味噌汁に岩のりが入り始めることくらいしかいいところが見つかりません

誰か私に、教えて下さい、冬の鶴岡リテラシーを。

一年目研修医 佐藤

2018年12月19日

研修医

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