研修医の声

赤川花火大会②「My name is O」

ーーーーーーーーーーーー赤川花火大会当日

今日はなんだか体が重い。

昨日歩き回ったのも関係しているのだろうか。

疲れたせいもあってか夜も寝つきが悪く、朝の4時まで眠れなかった。

疲れたから、というよりもしかしたら昂っていたからというのもあるのかもしれない。

久しぶりの戦いだ。山形市民との激闘の記憶がぶり返せば自然と武者震いもするってもんだ。

久方ぶりのチャレンジャー。

今回は嘗て恐れおののいた芋煮民ではない、赤川民それも...昔と違って暴徒と化した荒くれ者だ。

F「さあ、頑張るよ」

彼の一声から戦いは始まる。朝7時半、昨日の作戦通り私は走る、Fはチャリ。

1stラウンドは現地への移動、私が走りきれるか否かが焦点となる

この日は幸い20度前後と涼しく、私達にとって最良のコンディション。

「走り切れないわけがない。」

大学時三時間部活してから5km走るのもわけなかったのだから。走り出す前の私は、そう思っていた。

しかし、どこか体が重い。単純に増量に成功してしまっていた。動けていた当時の10kg増だ。

冷静にもなれば朝に走ることなんて小学生以来ない。体も無理だと悲鳴を上げる。

2kmも経たずして、その悲鳴は骨の髄からも聞こえてきたのだ。

しかし、戦うべきは私の体ではない。場所取りに訪れる赤川の猛者たちだ。

どれだけの知をこの戦いにぶつけてくるか想像もできない。

現地に近づくに連れて交通量が減り、近くの商業施設のどこにも車は停まっていない

ここらで何か違和感を覚える。

「まさか既に戦いは終わった後なのではないか」

解禁は6時、だが今は7時45分

猛者たちは既に場所取りを済ませ、無料エリアすべてにブルーシートを張り終えているのかもしれない。

赤川グラウンドは多種多様な色のシートに染まり、それはあたかも花火のよう

そんなコメントを残しながら、場所をとれなかった自分を恨むことしかできない...肩を落とすFが、

「約束守れなかったね」

そんな最悪のシーンが眼前に迫ってきている中でも、私たちは歩を進めたのだ。

暫くし現地につき、目の前に広がる光景に私は腰が抜けた。

ちゃいろおおおおおおおおおおおおおおおおお

ちゃいろおおおおおおおおおおおおおおおおお

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ちゃいろおおおおおおおおおおおおおおおおお

ちゃいろおおおおおおおおおおおおおおおおお

それは、綺麗に整備されたグラウンドだった。

ーーーー戦いは始まってさえなかったのだ。

鶴岡市民は、戦う気などなかったのだ。

あっけにとられた私はFと共に予定された地へと向かう。

F「先に無料芝エリア見に行ってくるよ」

肩で息をする私をよそに颯爽と自転車で立ち去る。

全くさわやかなイケメンだこりゃ。

F「やっぱだいたい埋まってたね」

もう戻ってきた。速いよ、速すぎるよ交通手段自転車

・・・

とりあえずブルーシートを引くことに関してのライバルは振り切れた。

あとは最適な場所に引くだけ...

だがどうだ、引くだけで本当にこの戦いを制したと言えるのか?

否、言えるはずが無い。

未だ見えぬ強者達は、我々が確保したこ無料グラウンドエリア内の一等地を、芋煮民レベルで競合してくる可能性がある。というか、確実に奪いに来る。

それ程に私が狙い澄まして引いたこの場所は、とかく輝いて見える。

最も有料エリアに近く、買い出しにも行きやすく、それでいて探しやすく、返りやすく、トイレにも近い...

に来るはずだ。

私達が引いた瞬間、その場所は争ってでも取りに行くべき場所だと誰もが気付くはずだ。

事前に予習した我々が引いた場所...それも地元民であり、この地元で最も優秀な人間が集まる高校を出た私が選んだ場所だ。

私達が戦争の発端になってしまうとは...自由が効かないとはこのことだ。アイドルそのものである。

であるならば、擬態するなり、戦いを避けなければいけない。

その為の策を地元民の感性を用いて講じなければならない。

まず最初の敵は...風だ。

風力発電の町立川を生んだこの庄内地方。プロジェクトXがフォーカスを当てたのも納得の豪風地域。

まず安易にブルーシートを敷くだけでは吹っ飛ばされるのが落ちだ。

まずは飛ばされない努力

ブルーシートの四隅をピッケルで抑える。これだけだとまだ不安。

故にペットボトルに水を入れて、置いておく。これなら帰りは水を捨てて持ってくるだけでよく簡単。

加えてペットボトルが相当数あれば赤川民も多少どけるのが億劫になるハズ。

だがただのペットボトルでは彼らも「たかがペットボトル」と舐めてくるかもしれん。

そこでFは考え抜いたのだ。

「この前大腸カメラした時に飲まされた、下剤のボトルをおいてこよう」

彼の大腸カメラを手助けしたブツは、赤川民への魔除けとして用いられた。

異形な形をしたそのボトルは、追っ払うに相応しい。

このボトルを見ても追っ払うことが出来ない連中にはどうすればいいか。

奴らを追っ払う方法は二通り。

(1)こっちの方がヤバい連中だと思わせる

これはブルーシートに相応の演出をすればいい。明らかに強そうな感じで。

(2)良心に訴えかける

こればかりは架空の団体に偽装する必要がある。

ジジババ集団の花火集団と思わせることが出来れば...大概は追っ払えるはずだ。

数々の思慮を巡らせ、私が仕上げた場所はこうだ。

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いかがだろうか

ど真ん中に据える、すこやかみずほ敬愛会

じじばば団体なのか、それとも子供達が集まる団体なのかわからない名。

ブルーシートを剥ぐ最悪の連中が仮にいるとしても、流石に剥ぐ気も失せることだろう。

子供とじじばばには優しくしなければならない。これは庄内人であれば当然に教育されており、誰もが破ることが出来ない不文律だ。

そして周囲を覆うのが、大島という文字と佐。

佐藤と書こうとして藤が難しいから、よく偽名で使う大島が書きやすいからとダイナミックに仕上げた。

佐と書きかけている時点で気味悪いし、大島が思いのほかキレイに出来たのもまた逆に君が悪い。

そして、この不気味さをより強調するのが、脇に置かれたFの大腸カメラの際用いた大量の下剤が入っていたボトル。

もう完璧としか言えないだろう。誰も寄せ付けるわけが無い。

流石に私も勝利を確信した。

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Fも思わず、鶴岡の大地に、大空に感謝する。

大島、拝。

――――――――――――

無事に場所を確保できた私達。

そこからは来た道を歩き、朝回診へと向かう。

この日の合計移動距離は21kmにも及ぶ。全て踏破したのだ、満足度も高い。

場所が奪われているかもと不安になりながらも、大島の御加護があるのだからまだ安心。

開演一時間半前に集合した私達。

周囲は全て埋まっていたが...大島は、下剤は今か今かと私達の帰りを待っていた。

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歓喜

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歓喜

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適度に風が吹いていたのもあって、待ち時間は無い。

いつもは煙が立ちこんで皆で団扇で仰いで煙を追っ払うのが恒例なのだが。

加えて外気もかなり寒く、半袖半ズボンでは寒いほど。

両親も見に来ていたようで、全身をウインドブレーカーに包んでいたとのこと。

それでも寒いと。

全く更年期だ。私は少し肌寒かったが、全然耐えれる。

そりゃ一日中歩き続けたのだから。私はたぎり続けていた。お酒で体を燃やし続け、燃やした体を油ものとスナックで潤し続けた。

帰りには宿舎近くで〆の...呑んべえが集まればこれもまた必然か。

以上、二回に渡ってお届けしました赤川花火大会。

花火の話はあんまりありませんでした、、過去記事を見てみて下さい。

大先輩が書いて下さってますよ。

しかして、細かいネタは本当はまだまだあります。

朝ひとっ走りした後、病棟回診に行ったFが病棟ナースに

「先生、研修医の先生と一緒に歩いていましたね(笑)」

と煽られたり、あれほど約束をした某研修医との写真を取り損ねたり。

また

・以前回っていたOさんが実は来鶴していてその時起きた事件が...

・赤川花火大会会場に救急車がきたその時、鬼神・金野、ここせん・N、山大からのたすき掛け・神○の三人が...

色々ありましたが、長くなりましたのでここらで終いにします。

イベントする度ドラマが起きる、イベントなくてもドラマが起きる

毎日楽しいぞ、荘内病院。八月も笑顔が絶えない毎日でした。

 1年目研修医 佐藤

2018年09月05日

研修医

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